●千葉県滝の新情報36●

日本滝名鑑4000』 の 滝の名称について・・・・千葉県の例     HPトップに戻る 新情報表紙に戻る
木田 薫さんという方が、東方出版より、上記の滝の本を出されました。
日本の滝を見るに当たっての、基本文献になりそうです。
値段が高価ですけど、本になったものとしては最大の4000個の滝のリストについて、画像と、一応の道案内があって・・・地図や緯度経度がないのが残念ですけど・・・という点で、便利な本でないでしょうか。
 私も、日本の滝の地質と地形のデータのついたデータベースを、勉強をかねて、そのうち作ろうかなあと思っているのですが、その、元にしようかしらなどと思いました。
 内容も凄いけど、それとは別に、4000もの滝をお一人で廻ったようで、物凄い努力であったと感服いたしました。

 というようなことから、
 この本の滝のリストや名称が、今後流布するのではないかと思うのですが、金科玉条にされちゃうと、少々、不安があります。

 私の地元である、千葉県の滝について、29の滝が紹介されています。
一人で全国を廻っておられるので、仕方がないことですが、調査が荒いですね。
その結果、滝の名称や滝とするには不適当なものも入っていて、29基のうち、13基について疑義があります。

 滝の名称は、地元の方の言っている滝名を優先すべきなのですが、複数あることは普通ですし、地元での多数決の名称を決めることは何度も調査しても難しいのです。
 その辺、安易に名称が出されているようです。郡志や市町村史に出されている名称などとのすりあわせをなさっていないようですので、明白な間違いも含めてかなり違いがあります。
 というわけで、主に、名称についての、私の訂正意見を述べておきます。 
p141-143 です。
0*** 本の滝の番号 本の滝の名称と位置 ⇒ 私の意見 です。

滝の所在や高さ、名称、文献等については、特に注記してないものは、
 http://www33.ocn.ne.jp/~takisekibututiba/tibataki/takilist/atakilist.html  を参照してください。
高さについては、目測とのことですので、いちいち訂正しませんでした。木田さんの目測は高めに出るようです。
0985 宇筒原の滝 大多喜町宇筒原 ⇒ 訂正 船塚の滝 大多喜町押沼。ただし、滝タラズ。
 船塚橋の下にあるとのことですので、船塚の滝です。
この滝については、私のHPの、
http://www33.ocn.ne.jp/~takisekibututiba/tibataki/takicard/isumigawa/hunatuka.htm をご覧ください。
う澤喜久雄さんが最初に、指摘された滝ですが、大字宇筒原でなく、大字押沼の船塚にあり、地元の方が宇筒原の滝ということはありえないと思います。
川廻しの人工滝で、落差も1.8mしかもともとなかったものです。滝の高さが足りない、滝タラズということにしといたほうがいいと思います。
 これをだすのなら、ずっと良い滝があります。

0992 泉川滝(いずみがわたき) 鴨川市粟斗 ⇒ 訂正 ぜんせんたき、あるいはぜんぜんたき です。
これも地元の人は、いずみかわとはまず、言わない。番地も、鴨川市泉です。

0993 幻の滝A(生命の滝) 大多喜町小沢又 ⇒観光名です。本名は、地元ではかっか滝、他地区の人は、小沢又の滝といっています。地元の人は小沢又の滝といっている人が多いなあ。高さ13m⇒7m

0994 幻の滝B ⇒滝モドキ というべきもの。
上の水田用水路の排水です。滝として出すのはどうでしょうかね。自然の滝じゃないんだから。

0996 浅間様の滝 鴨川市太海 ⇒ 普段水がなく、滝タラズ というべきもの。
別名「太海不動滝」というのは、0997の滝のことです。ので誤用と思います。
 これをだすのなら、ずっと良い滝があります。

0997 浪切不動の滝 鴨川市太海 ⇒ 訂正 太海不動滝 が適切。 
浪切不動の滝といういみでは使われているかもしれませんが、安房郡誌など印刷されたものはすべて太海不動滝です。・・・地元では不動滝でつうじます。

0999 横根川滝 鴨川市横根 ⇒訂正 大六天滝 鴨川市東江見 
安房郡志にも第六天滝とあり、横根川滝というのは、誤用か少数派と思います。
8m⇒6m 川の名称は、房川だと思います。
 
1000 第六天竜滝 鴨川市山居⇒ タイの下の滝 鴨川市横根 
8m⇒6m 川の名称 横根川⇒房川 
この滝は、誰でも知っているが誰も記述しなかった滝で、詳しくは、私のHP
 http://www33.ocn.ne.jp/~takisekibututiba/tibataki/takicard/husagawa/tainosita.htm を参照してください。
第六天竜滝という名称は、一般化してないと思います。 多数派は無名の滝なので、小字名を取って呼んでいます。
 これをだすのなら、ずっと良い滝がありますね。

1002 山口の滝 ⇒ 金杖滝(別名 山口滝) 
最近、地元では、金杖滝が多数派のようです。

1004 そうびんの滝 三芳村増間 ⇒訂正 前惣引滝あるいは前蔵引滝(まえそうびきたき・まえぞうびきたき)、
最近、水こり場になったので、水垢離滝という名称板になっている。「そうびん」というのは、「そうびき」の変化のように思われます。今までの文献では、前惣引滝あるいは前蔵引滝で、そうびんという名称は出てきません。

1006 不動七滝 三芳村長沢 ⇒ 沢山不動滝 あるいは七ツ釜。 
いろいろな呼び方で呼ばれてきたんだろうと思います。ですけど、最近は、この2つが優勢ですね。
不動七滝といっても、通じないのでは。

1010 梨沢大滝 ⇒ 梨沢不動滝 
この滝は、大滝とも不動滝とも呼ばれていましたので、こう呼ぶ方もいると思いますが、君津郡志以来、郷土史では不動滝と呼び、現在でも梨沢不動滝が多数派です。

1011 大滝 ⇒大戸場滝 あるいは、県民の森の大滝 
この滝も、以前から、松節川の大滝とか、ただ大滝とかいわれていますが、地元の方は所在地名を取って大戸場の滝といっていました。両方あるわけ。国土地理院の2.5万地図には、大戸場滝ででています。そっちのほうが名づけ方として、正当でしょうね。 
 他県の滝の場合も、同じ作業が必要かもしれません。
 なお、滝の名称は、決定版というのはなく、多数決があるだけです。・・・千葉県で一番有名な滝の「粟又の滝」というのは、古代から戦前まで「高滝」というのが本名でしたが、戦後、「粟又の滝」が観光名になって、現在、そちらが多数決になっています。ですので、地元の人が言う種類分だけ滝の名前が複数あるということで、聞き取りした滝の名称は、間違いではありません。少数派かもしれませんが。ですので、以上にあげた滝の名称は、正誤表ではなく、対応表です。 ですので、滝の場所を間違えて、言っている明らかな誤用を除いて、地元の方が言っている滝の名称は、みな正しいです。 でも、滝の名称は、多数派の名称を用いるのが、原則だと思います。 無用の混乱を起こしますからね。
 補足 
1.滝の名称には、もともと名前が無い場合もありますし、一時名前がついたが、人間生活と関係なくなって、忘れられてしまった場合も多いということで、無名の滝がどっさりある、という前提で考えるべきでしょう。
 千葉県の川みたいに、浅い山で川に滝が少ない場合は、小字1つにつき滝1個しかないので、小字名か沢名をつけて地元の人も呼ぶのが通例ですけど、普通のちゃんとした山の沢の滝では、本来無名の滝が大部分で、小字に複数個あるのが普通と思います。
 無名の滝は、無名の滝と呼ぶべきでしょうね。だけど、名前が必要というなら、「無名である」+「滝の識別が可能である」言い方をすればいいんじゃないかと思います。
 沢登りの沢なら、沢の名前+Fナンバー。 Fナンバーが無い場合、瀑布帯の本滝(これは大抵名前があります)、上滝1,2・・、下滝1,2・・・とやることもいいかなあ。
・・・・例 奥多摩の例では、三頭沢F2とか・・・F1は夢の滝です、そのうえの小滝。
・・・・千足沢天狗滝上滝1とか・・・天狗滝直上の3mの滝。
・・・・こうゆう言い方なら、無名であるか、あるいは、滝の名前を知りませんというのが、わかりますし。

2.地元民で無い者が勝手につけた名称は、(仮称)を付けるべきですね。

3.地名の聞き取りをする場合、地点を間違えないようにすることは、聞くものの義務ですが、結構難しいことです。聞き取りの結果、別の地点の名称を、その地点の名称だと思い込んでしまうことは、常にありうると、自戒する必要あり。
 HPトップに戻る 新情報表紙に戻る