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開催日20020310  千葉県立中央博物館友の会観察会 ---- 古文書から地形変化を読む----
  川廻し地形観察会 記録  勝浦市と御宿町の川廻し (作成中)    
  ●講師:千葉県立中央博物館地学科  吉村光敏   ●運営:岡田隆治
川廻し地形(Ω型) 模式図
 <もくじ> 
  <概要説明>
川廻しとは・・・・ 短い説明 ↓ この下←完成0412
●川廻し地形について・・・ 長い説明 完成0415
   川廻し地形とは
   川廻し地形の分布
   川廻しの時機・開発者・技術
   川廻しの地形の種類
      Ω型  M型  連続型  R型  林業型

  <現地資料> (作成中)
観察の目的と方法、観察ルート、勝浦・御宿の川廻し分布図
●現地資料 
Loc.1 御宿町上布施 館山の川廻し  連続型
Loc.2、3 勝浦市 花里の川廻し  連続型
Loc.4、5 勝浦市 市野川の川廻し Ω型 古文書と地積図
Loc.6 勝浦市 荒川 雨降滝の川廻し Ω型 特殊形
Loc.7 勝浦市 小羽戸 柳島の川廻し Ω型 古文書との関連
Loc.8 勝浦市 宿戸 の川廻し M型 天然記念物もの の優れもの。

<川廻しとは ---短い説明>

  『川廻し』 とは  --上総地方を特徴づける河川工事--

        <川廻し地形模式図>
   川廻し前     川廻し後    鳥瞰図

 川廻しは、関東地方では、千葉県の上総南部の丘陵を流れる川のみ多く見られる特殊な河川曲流短絡工事です。
 水田型の川廻し林業型の川廻しの2タイプがあります。一般に知られているのは水田型の方ですので、そちらをまず説明します。

<水田型の川廻し>
 この川廻しは、関東では房総半島のみにみられる特殊な新田開発の一タイプです。川の曲流部分を短絡し、今まで川だった所を水田化する方法で、近世〜明治にかけて房総丘陵各地で450ケ所以上で行なわれました。これらの、短絡された川や水田になっている昔の流路が、今でもはっきりした地形になって残り、先人の水田開発への想いを伝えています。
 図のように、穿入曲流した川があり、そこを、トンネルか切通しで短絡して、旧流路部分を水田化する工事です。新流路(トンネルや切通し)をシンカワ、水田化される旧流路をフルカワ、切断された曲流部分をナカジマと呼ぶ。フルカワは客土や堤防でかさ上げされ、普通の洪水では浸水しない。シンカワのトンネル高が(崩れてなければ)普通の洪水水位を示します。
 千葉県外のまともな川なら、一発でぶっつぶされてしまいそうな、このような、川を馬鹿にした新田が作られた理由としては、1。上総丘陵の川はすべて、地史的にこのような穿入曲流河川であること、2。岩質がやわらかくて人力で掘れること、3。緩流河川で、洪水水位も高くない、御しやすい河川であること。等の上総地方特有の自然条件があったことがあげられます。

川廻しのトンネル 君津市鍋石の川廻し

 <川廻しと川廻し地形の定義>
 「川廻し」とは、あまり知られていない言葉かもしれない。房総では地元の人々が日常に使っている言葉だが、勿論、厳密な定義はない。私は、水田型の川廻しを以下のように定義しています。
 「川廻しとは、主に上総地方南部の丘陵地を流れる河川で、江戸時代以降、新田開発を念頭において行われた曲流河道の曲流短絡工事」のことである。
 「川廻し」工事の結果、トンネルや切通しを流れるように付け替えられた新たな川や、水田化された旧曲流跡などの特徴ある地形が作られた。これを「川廻し地形」と呼びます。
 川廻し地形は、上総地方では各所にみられるありふれた地形です。皆さんも、上総の川を歩いた方は、トンネルから川が流れているのをみたことがあるでしょう。観光地になっている養老渓谷の弘文洞のトンネル(最近落ちて切り通しになってしまったが)も川廻しのトンネルです。

 林業型の川廻しは、長い解説の川廻し地形の種類 を見てください。

千葉県外では、新潟県の魚沼丘陵を流れる穿入曲流河川で、同様な曲流短絡工事が行われていて、そちらでは、「瀬替」と呼ばれています。他にも、例があるかもしれません。ただ、関東地方ではほとんどないと思います。

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