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7. 滝面の地形 観察例 |
実際の滝を見ながら、滝面微地形を区分し、分類してみます。 | ||
図25は、実際の測量をもとにして描いた、小糸川水系の大戸場の滝(千葉県君津市清和県民の森にある、通称、県民の森の大滝)の滝面・岩床のブロックダイヤグラムで地下の地質も示してあります。 今までの滝面の地形が模式図ばかりだったので、実例として見てください。 1.図の説明 滝面や岩床の表面を横切っている線は、測量による等高線です。 川の方向と平行な線は、地形の最大勾配をつないだ線で、平たく言えば水流が流れていく線です。 両方とも、現実には見えません。 太い曲線は、微地形の境を示す傾斜変換線です。 水色は渇水期の水部。滝壷があります。 |
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2.洪水時の河床 洪水時には、図の滝面、岩床の全面を水が流れます。下流の薄い礫堆には粒径20cmぐらいの円 礫は普通に見られますので、川の力は結構あります。 | ||
3.個々の滝の判別 下に3.0mの滝、上に7.5mの滝があり、間には平坦で滝壷のある岩床が10m以上ありますので、 本滝(7.5m)と下滝(3.0m)の2つの滝がある瀑布帯です。 近接しているから、連瀑ですね。 連瀑ですから、2連で1単位と考えて、 大戸場の滝 10.5m (2連の連瀑、3m、7.5m) とよぶ。 |
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正面写真からでは、2連の連瀑なのか、2段の滝なのか分からないし、滝の上にさらに滝があるかどうか(滝の上は、下と同じく、平坦な河床がずっと続いている)は分かりません。 鳥瞰図と見比べて下さい。 以下、2つの滝の滝面地形を見ていきます。 |
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4.水流による滝面の地形 2つの滝は、川幅が変わらないので両方とも面滝。 2つの滝は、曲がりもないので直な滝です。 2つの滝とも、滝面が一部えぐれていて複合型の滝面です。 下滝は、左岸側が緩やかなナメ滝でこれが主滝。 、右岸側にナメ滝をえぐった歐穴状直下型の副滝があって部分滝壷ができています。 主滝は、半分削れていますが、副滝ができる以前は壁型緩傾斜のナメ滝だったでしょう。・・写真と鳥瞰図を見て下さい。
本滝については、 右岸側の急傾斜な階段状、壁型の滝面がでっぱっているから、これが主滝。 左岸側は、平面が円弧状に、えぐられているので、円弧状直下型の副滝ということになります。 滝壷は川幅一杯にある、全面滝壷で、下流の河床よりも深いです。 主滝に対応する古い滝壷と、副滝に対応する新しい滝壷があります。←写真じゃ見えないので鳥瞰図で見て下さい。 |
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5.岩質による地形の差 鳥瞰図や断面図の側面に岩質を示しました。 滝とその上流下流の河床を作る岩石は、やや固結した泥岩層(一部スコリア層)と粒状にはがれる砂岩層からなっています。地層名は三浦層群清澄層。 断面図で分かるように、2つの滝とも、滝面の上部斜面の上端境は泥岩層になっていて、泥岩層が見かけの造瀑層になっています。 下滝では、滝面は砂岩層で、滝面の断面は、砂岩層特有の丸みを帯びた形で、滝面の3区分や落下境界線は不明瞭になっています。 本滝では、滝面が砂泥互層で、滝面の3区分や落下境界線が明瞭です。 主滝部分の滝面は、砂岩泥岩層互層が、泥岩層が下に凸、砂岩層が上に凸の断面形になり階段状になっています。 副滝部分の滝面は、上半分が砂泥互層による階段状ですが、下半分は砂層が多くなるので、断面が垂直に近くなっています。 |
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6.より小さな地形 上記の地形より、一ランク下の地形として、本滝に3、下滝に2個の歐穴があります。 →鳥瞰図参照 本滝の歐穴は滝面の後退により下流側の上半分が破壊されています。 また、岩床の表面には泥岩層と砂岩層の洗濯板状微地形が見られますが、図には小さくて表現されていません。 →蛇足。 歐穴や洗濯板状微地形、特に歐穴は、河川地形の本によく写真が載っていて、凄く重要な河川侵食地形のようですが、図で見ると、歐穴の侵食は、侵食量からみると取るに足りないものであることが分かります。 滝壷の形成の方が、あるいは、副滝の掘り込みの方が、あるいは、平坦な河床の形成の方が、地形の大きさのレベルが一段上で、はるかに重要な地形です。 |
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7.滝面の記載はこう、・・・全部やると 本滝と下滝の2つの滝を、滝面の記載方法にそって書くと。 本滝は:7.5m、面滝・直の滝・複合型・主滝急傾斜・副滝円弧状直下型の滝。部分滝壷・泥がち砂岩泥岩互層・見かけ造瀑層泥岩層・逆層。 下滝は:3.0m、面滝・直の滝・複合型・主滝緩傾斜・副滝歐穴型の滝。部分滝壷・砂岩層・見かけ造瀑層泥岩層・逆層。 省略すると、 |
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7.滝面の記載はこう、・・・中ぐらい簡単に行こうよ なら 大戸場滝は、比高10.5mの2連の連瀑。 本滝、7.5m、複合型急傾斜、砂泥互層逆層の滝。 下滝、3.0m、複合型緩傾斜、砂層の滝。 このぐらいだと、文だけで、イメージは湧きますね。 |
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7.滝面の記載はこう、・・・超、簡単に行こうよ なら 大戸場滝は、比高10.5mの2連の連瀑。本滝、7.5m、下滝、3.0m。 滝の統一表記として、提案するとしたら、このぐらいかな。 地学の調査としては、岩石の情報が無くて、これでは全然駄目ですが、地質なんか調べてたら死んじゃうよということもあります。 滝を調査する場合、その目的は、おそらく地学的な目的でなく、景観的な見地からでしょう。そうなると、見ただけで分かる、このぐらいが限度かもしれません。図書館で地質図から、岩質を推定ということで入れるだけでもいいかもね。 この記述でも、個々の滝だけでなく、瀑布帯としての把握が求められているので、滝の上を確認しないと正確なことを言ってないということになる。 全部の滝の上滝の所在について、確認しようとしたら、やはり、死人続出かもしれませんが。 |
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