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5 滝面の地形ー岩石による滝面の微地形ー

 所々で述べてきたように、水流の地形形成を、岩石が制約・規制する現象は、常に見られる現象です。
 この滝における現れ方を、概念的に整理すると、下記のようになります。

● 硬岩層・造瀑層による:例:固結した礫岩層、溶岩層、斑岩の岩脈等
● 弱層・弱線による:例:未固結の凝灰岩層、断層破砕帯、冲積層等
● 岩質による:石灰岩、花崗岩、チャートなど、
● 構造による:層理、節理、断層等

 房総の滝について、つまり、未固結海成堆積岩層の例を以下に示します。
 別の地域の滝を題材に、花崗岩の場合、所謂「秩父古生層」の場合、石灰岩の場合、グリーンタフ地域の場合、火山岩の場合など岩質タイプごとに、共通した制約による地形がでてくると思います。
 全国を股にかけて歩いている方がまとめてみたら面白いかもしれません。

岩質による滝面形> 房総の滝の場合

 ●砂岩層の作る滝面
表面が丸みを帯びた曲面になる。
 上部凸形滝面や下部凹型滝面が発達することが多く、中部直線状滝面は短い。

 ●泥岩層の作る滝面
表面が節理や地層面に対応したごつごつした平面の集合になる。
 急な滝面の場合は上部凸形滝面や下部凹型滝面がごく短いことが多く、中部直線状滝面は短い。
 緩やかな滝の場合は、順層の場合が多く、ナメ滝や階段状の滝になりやすい。
 砂泥互層の場合は、泥岩層が一時的な硬岩層となる。

 ●硬岩層の作る滝面
固結した礫岩層(黒滝層や十宮層など)等が、滝面で突出したりする場合。

 ●軟岩層の作る滝面
多くの場合、粗粒の凝灰岩層が軟岩層となって、選択的に侵食され凹所となったり、溝状の副滝の場所となったりしている場合。


<構造による滝面形>:
 ●弱線の作る滝面
断層面等の破砕されて未固結な部分は、その部分が掘り出されることが多い。
滝面の平面位置を決めたり、滝面の割れ目として出現する。
副滝の場所となることも多い。

 ●順層の滝面
下流側に向かって順層の場合は、全体として緩やかな滝になりやすく、ナメ滝と   なることも多い(泥岩層の場合)

 ●逆層・水平層の滝面
逆層あるいはほぼ水平層の場合は、急な滝、階段状の滝になりやすい(これも泥岩層の場合に目立つ)。

 ●軟岩との対応関係
、養老川の粟又滝(高滝)は、傾斜の緩い順層のナメ滝ですが、この滝面の形は、滝面よりやや上にある凝灰岩層と並行的で、現在の滝の滝面の形は、その凝灰岩層(軟岩)の削剥によってできた過去の滝面を一部修正している姿なのではと考えています。 

 より固結度の高い地域の滝では、岩石そのものが違いますから、当然顔つきが変わってくると思います。
 ここで言いたいことは、岩質による滝面の違いは岩質ごとにそれなりに共通した性質があるであろうということで、たとえば花崗岩の滝は、それなりに特有の顔つきをしており、あるいは花崗岩の性質の差によって、その細分がありうるであろうということです。

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