●千倉町大貫 乙王滝 記録カード 滝記録カード目次に戻る HPtopへもどる |
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●遷急点名 乙王滝 ●水系名 瀬戸川 ●立地沢名 本流 | ||
●所在地:千倉町大貫 ●難易度、3 ●緯度経度〔日本座標〕 北緯34゜57′43″ 東経139゜54′34″ ●落差 4〜5m 〔測る気にならなかったのであやしい〕 ●流域面積 0.53 ku 結論からいうと、以前の乙王滝は消えているようです。現存の滝は人工化されたもので、滝壷も人工化されていますが、これは、以前の乙王滝の滝壷が残っているのではと思います。 図の赤が、現在の乙王滝。堰の余水吐になっています。 茶色が堰。道のカーブする地点に標識があり、そこから、踏み跡が滝上まであり、滝下にも降りられます。 カーブの位置は、小松寺から、下の地図を見て、判断してください。・・・すごく分かりにくいです。(^_^;) この滝については、赤松氏に案内していただいたのですが、短時間サッと見ただけなので、上の見取り図等も誤認した部分ががあると思います。 |
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●位置図 京葉測量千葉県1万分の1地形図136腰越と空中写真判読により作図。地図が古く、道が太くなり一部位置も変わっていますので、行かれる方は、各自、自分の目で行ってください。 ●文書 安房郡誌の小松寺の七不思議の項など。+ 再発見のいきさつ 千倉町大貫の小松寺といえば、当地方の有名寺院で、文化財なんかも優れたものをお持ちです。人里はずれた山奥にある、立派なお寺です。 千倉町のHP 観光スポットの項参照。 というわけで、安房郡誌などの地誌にも詳しく取り上げられています。そこに、小松寺の七不思議という有名な伝承があります。 乙王滝は、小松寺の七不思議という伝承のなかにあるひとつなので、滝人間草分け、君島さんや赤羽さんも小松寺に滝があるんだがどこにあるんだろうと、見に行かれたことがあるそうです。 しかし、乙王の滝がどこにあるということを知る方がなく、寺の周りにも滝らしいものが見つからない、というわけで、所在不明とされていました。 そんな所に、八千代市の赤松さんが、乙王滝らしき滝を確認して、情報を寄せてくださいました。⇒その情報は、滝の新情報 に速報しました。 まず、赤松さんの情報 その後、赤松さんに案内して頂いて見せていただいた時の滝おやじのメモを掲げます。 埋もれていた滝を世に出して頂いて、赤松さん、ありがとうございました。 ---赤松氏のお手紙から引用--- 滝の再発見 私は、子供の頃から滝がすきで、関東地方を中心にかなりの滝に行きました。 千葉県の滝のうち、乙王滝については、いつも消滅又は不明の滝として扱われていますが、この滝へは数年(多分7〜8年)前に行った事があります。 当然ながら、案内板等があったわけではないので、私が見た滝が乙王滝であると言う確証はありませんが、それが本当に乙王滝であるかの確認の意味も併せて、お話させて頂きます。 乙王滝は、千倉の小松寺の7不思議の中(飛び降りて自殺した人がいるとの言い伝え)にその名前があったため、さっそく探しに行ったのですが、一度目は、まったく手がかりがつかめずにあきらめました。そこで、少しでも見つけやすいように、木々の葉が落ちる秋にもう一度行き、今度は小松寺の住職にでも滝の場所を聞いてみようと小松寺を訪ねてみました。 すると、おばあさんがでてきて、 「乙王滝は、旧道から脇に入った割と道路から近い場所にあり、昔は雨乞いのために付近の住民が白装束を着て滝壷に集まる事が度々あったが、だんだんとそう言う事が減り、更に昭和40年代に新しい道路が出来てからは、滝に行く道がわからなくなり、今は行くのは無理ではないか」 との返事でした。 確かに小松寺の前には、1mぐらいの小さな滝と池があり、そこに流れ込む川に沿って旧道が山の方に向かってのびていました。 そこで、この旧道を川の音に気を付けながら歩いて行く事にしました。 しばらく歩いて行くと、川の方から微かに滝の音が聞こえる所があり、その近くをくまなく探した結果、人の目の高さからは気づきませんが、しゃがんで見ると道路から川の方に向うかすかな踏跡がありました。 この踏跡は、既に草が生い茂っていて、歩くのはムリだったため、這ように進んで行くと、旧道から100m程で乙王滝の上に出、更に踏跡を辿って下流から滝下におりる事が出来ました。 乙王滝は、幅2m程で普通に流れていた川が、そのままの幅で急にえぐられるように川底が下がったその段差に生じた落差10m弱の滝で、滝の下流の川底に降りると、まるでビルとビルの隙間にいる様な感じでした。 写真もありますので、なにかもっと詳しい情報等が必要であれば、御連絡下さい。 ---引用終わり--- |
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---滝おやじの観察メモ--- まだ分からないことも含めて その後、赤松さんに案内して頂いて見せていただきました。 滝の所在場所は、滝上に堰の水面がすぐにあり、上の地図の場所でした。お寺から大分離れていまして、予想外のところにあるというのが実感でした。これなら、滝人間長老でも探し落とすでしょうね。 乙王滝がここか?、ということですが、寺の行事のときに使っていたという滝ですから、当然、乙王滝の可能性が高いですし、伝説どおり滝下の淵が立派で、小松寺より上流で他に滝らしきものが見当たりませんから、この滝の淵が乙王滝の淵であることは確実ではと思います。 ただし、滝は、堰を作った際に、堰脇の低い地山に溝を掘って、余水吐として作成したものと思われます、写真で見ても、滝面がほとんど削れていず、自然の滝とは思えません。 滝の高さは、測定する時間がなかったので、目測ですが、4〜5mぐらいです。 滝は、滝の上が、堰になっていて、堰の余水吐として機能しています。写真で滝の下部が凹んでいますが、そこに穴が開けてあって、堰の水落などのときに使う排水穴だと思います。 滝の下には、立派な滝壷があり、右手から支流の枯れ沢が合流しています。 滝壷の下流の水路は人工的に整流水路として川幅を直線的、同一幅に拡大した加工跡が残っていて、類例を見ない光景でした。・・・うーーむ。写真機が壊れていて写真がとれていません。 現在の滝が人口、あるいは加工された滝として、本来の乙王の滝はどこになるんだということですが、一番ありそうなのは、堰の直下になっているということですが、その辺、よく見る時間がありませんでした。滝としては堰によって消えてしまっているのでないかなあと思います。 これについては、堰の造成や、再度、地形の観察をしてみないと分からないことが多くて、今の時点では何ともいえません。 (^_^;) 地元の方から、ご教示願えれば幸いです。 七不思議になるぐらいですから、それなりの不思議性があったはずです。 それについても、なんともいえません。 実際、安房地方南部は、地質が軟らかい岩石ばかりなので、海食崖の滝以外には、山に自然の滝がない地域です。ですので、滝らしい滝があるだけで十分不思議なのですが、その辺のところ、まだ何ともいえません。 とにかく、乙王の滝(淵)が再発見されたというのは、うれしいことですね。(^o^) |
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<まったくの余談、小松寺の猫> 小松寺といえば、当地方の有名寺院で、文化財なんかも優れたものをお持ちです。人里はずれた山奥にある、立派なお寺です。・・・私も博物館に勤めて最初のころに、小松寺の鎌倉時代の十一面観音像を梱包搬出に行く助手で行った事があります。 お預かりする仏像は、そんなに大きなものでなく、ご本尊でもないので、脇の台に安置されていましたが、その仏様の前で、お寺の猫が長々と熟睡中で、十一面観音様の微笑みのまなざしを受けていました。御前様が、この猫はいつもここで寝ているから、ぜったい極楽往生間違いないと言っておられました。実際、ほほえみを浮かべたいい仏様なんです。自分の個人用に欲しいです。 山寺に住んでいる猫だと、こうゆう役得があるんですねえ。 |
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●滝面 帯瀑。 面滝・人工的複合型・急傾斜 全面滝壷 ●地層・岩質・構造 泥岩層 緩い順層。 ●成因 人工の滝らしい。本来の滝は未調査。 ●変遷 未調査。滝壷部分に全面滝壷が形成されているが、加工されている。 |
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●歴史・利用 小松寺の行事での水の信仰関連あり。堰との関係。未調査 | ||
●その他 探訪日 1999年 作成日 03/01/19 |