南房総市珠師ヶ谷 温石川川廻し滝 記録カード 滝記録カード目次に戻る HPtopへもどる ●遷急点名 - ●水系名 温石川 ●立地沢名 温石川本流 ● 滝一覧リスト とのリンク |
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<もくじ> 概要 ・・・・・牛のよだれのように延々と下に続いています。 お急ぎの方は、概要だけで。(^_^.) 発見史 滝の地学 1.川廻しの様子 2.滝面の地形 川廻しの年代 滝の諸元 画像アルバム |
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温石川川廻し滝 概要 | ||||
温石川本流にある川廻しの滝。 概略位置はこちら。 昭和30年代(1960年代)の林道工事で、曲流した本流河川敷に林道敷きを設置した。 そのため、曲流を短絡する水路トンネルを掘り、本流の水をトンネルに誘導し、トンネル出口が滝となった。 トンネルの長さを短縮するため、出口付近では、支流の谷地形を利用していた。 安房地方には珍しい川廻しの滝で、林道型の川廻しと分類される。 円形断面の高さ2間、幅1間規模のトンネルで、出口の滝の侵食形は形成されなかったが、滝下には全面滝壺が形成されていた。 設置後、20年以上経過した1980年以後、トンネル内部で、天井からの崩落により、トンネルは不通となり、放棄され、入口出口ともに埋積閉鎖され、滝は消滅した。 2010年に出口の滝下の滝壺に、支流の土石流が流下し、滝壺、滝とトンネル出口が大部分埋没している。 滝まで、容易に行くことができ、人工の滝の発生と、その後自然の作用での消滅例として代表的。 |
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滝の名前・発見史 | ||||
この滝の最初の紹介者は、君島安正氏で、「温石川本流の川廻しの滝」として、1980年頃滝仲間に紹介された。 その後、筆者が滝の一覧リストに紹介していた。 2000年2月、茂原市の野口和夫氏が、この川廻しトンネルの天井が陥没し不通となり、トンネル直上の地表斜面に陥没穴が開口していること。 トンネルの入口・出口は人工的に埋積閉鎖されていることを紹介された。 その後、私も見に行く機会がなく、そのまま過ぎてしまっていた。 ようやく、2010年11月に上流の柱木牧の滝を調査する際に確認したところ、川廻しトンネルの出口の滝壺・滝・トンネル出口が、支流からの土石流によりほとんど埋没していることを確認した。 この土石流は、2010年に発生したものと思われる。 |
滝の地学 ページのはじめに戻る | |||||
1.滝の位置・地形との関係 | |||||
昭和30年代(1960年代)の林道工事で、曲流した本流河川敷に林道敷きを設置した。そのため、曲流を短絡する水路トンネルを掘り、本流の水をトンネルに誘導し、トンネル出口が滝となった。トンネルの長さを短縮するため、出口付近では、支流の谷地形を利用していた。 図のように、もともと急な支流がトンネル出口付近で涸れ滝と成って、その後、緩やかな小谷となって本流に合流する地形があったと思われる。 その小谷の幅を広げ、トンネル出口からの新流路とした。 トンネルの入口側は、屈曲点で川が曲がり、そのまま直線にトンネルに流入するような方向と位置にトンネルの入口を設けていた。 ほぼ、水平なトンネルを掘削したので、出口で滝と成り、3.2mほど落下していた。 曲流部谷底の河川敷に、林道を盛り土で設置したので、川幅の減少は、1/3近くに達している。 洪水時には、トンネルだけでは飲みきれない水を旧曲流河道にも流す。そのため、曲流部分河床の下流からの洗掘による林道盛り土の崩壊を防ぐため、曲流部の最下流に頑丈な堰堤が作られている。林道の側面もコンクリート護岸となっている。 安房地方には珍しい川廻しの滝で、林道型の川廻しと分類される。 設置後、1980~2000年の期間に、トンネル天井の陥没が発生し、トンネルは放棄され、入口出口ともにトンネル内が埋められたと思われる。 天井の陥没は、トンネル上部の地表斜面にも陥没穴が開口するほどであった。 更に、2010年に支流で大規模な土石流が発生し、涸れ滝を落下して、滝壺と滝、更にトンネル出口に堆積物が堆積し、トンネルの出口を外から埋めて、現在はトンネルの上端が一部見えるだけの状態となっている。 |
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2.滝面 |
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川廻しの年代 ページのはじめに戻る | |||||
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滝の諸元 | |||||
●滝の名称 温石川の川廻し滝(仮称) ●所在地 南房総市丸山町珠師ヶ谷 ●水系 温石川本流 ●渓流名 本流 ●地図 2.5万 安房古川 ●緯度経度 北緯35度03分56秒 東経 139度58分46秒(世界測地系) ●流域面積 1.24平方k㎡ ●滝高 3.2m(未測定) ●地層 保田層群増間層 泥岩・白色凝灰岩互層 ●岩質・構造 背斜軸部 ●成因 林道型の川廻し。 ●変遷 侵食後退量 なし。 現在は、川廻しトンネルの陥没により滝は消滅。 更に、土石流により埋没。 ●滝面 形態 縦横比 1:2 幕瀑。 直下型滝面 全面滝壺。 ●年代・同期 川廻し時期は、1960年代と思われる。 天井の陥没による不通は、2000年以前。出口の土石流埋没は、2010年ごろ |
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● 調査記録 (1) 1980/05/06調査 調査者 吉村光敏 君島安正 野帳4-43 (2) 2010/11/27調査・撮影 調査者 吉村光敏 三明 弘 ● 当記録作成 2011/01/13 |
画像アルバム | |
本流の堰堤 20101127撮影 トンネル出口からの排水路上の橋から撮影。 橋より上流の曲流部の本流河床が林道により川幅1/3化しているため、下刻を防ぐために設置された堰堤。 |
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崩壊前の姿 19800506撮影 トンネルの出口 対岸より見下ろして撮影 高さ3.2m幅2m程度→2間の1間かもしれない。 円形断面 |
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崩壊前の姿 19800506撮影 トンネル出口の滝と、下流の排水路の全景 排水路上の橋上から撮影。 トンネルの左上の岸壁が、以前の涸れ滝。 排水路は、以前の涸れ滝の下流の支流谷を拡張したもの |
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崩壊後の姿 滝壺・滝・トンネル出口の埋没 20101127撮影 排水路状の橋上から撮影 トンネル上部が、隙間として少し見えている。 トンネル出口左上の涸れ滝から、土石流が、滝壺へ落下して、滝壺屋滝を完全に埋め、更に積み上がって、トンネル出口をほとんど埋没させている |
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崩壊後の姿 トンネルの入口の現状。 20101127撮影 引水路とトンネル入口は人工埋め土で閉鎖されていた。 |
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崩壊後の姿 トンネルの入口側の林道と川。 屈曲点から撮影。20101127撮影 手前の橋の下に引水路があり、トンネルに続く。 川幅が1/3以上に狭められている。 林道側壁は全護岸。 |
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崩壊後の姿 トンネルの入口側の引水路 屈曲点から撮影。 20101127撮影 手前の橋の下に引水路があり、トンネルに続く。 大洪水がきたら、河道の狭窄部で湛水して護岸の破損や林道の破壊などがおこるかも。 |
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