●粟又滝の上流に、宇野辺滝と小川滝といういい滝があった。 |
国土地理院20万地形図大多喜より作成 |
千葉県滝人間、木平 勉氏が調査発見された滝を案内してくださいました。 その後、滝人間菅原氏が、地元での名前を確認。 主な滝は、 宇野辺の滝(35m)と 小川の滝(4.7m、幅20m)です。 どちらも、千葉県内でベストテンに入る滝でしょう。 従来、粟又滝の上流には、たいした滝は無いと言われていたのですが、間違いでした。木平さんに脱帽 |
<宇野辺(うのべ)の滝> 位置:下の図参照。八州滝付近の対岸から養老川を渡って、川沿いに行くとよい。踏み跡あり。地図の養老川北岸の道は、山ヒルの密集地。 宇野辺から流れてくる支流が、川廻しトンネルで合流するので、それをくぐると滝下にでる。トンネル出口に火山灰鍵層Kd24(白色の厚い水中堆積火山灰層)があるので、地質屋さんには知られた所かも。 地番は、大多喜町面白(地図には宇野辺とあるが、地番は下流の面白の飛地、宇野辺という地番は無い)。 滝の高さ:全3段で写真で見えるとこまでで2段34m(吉村氏の測量)。その上に1段1mほどあり、計35m。 成因:懸谷の滝。3段で比高35m水平長12mぐらいの単一滝の遷急点。本流出合から30mぐらい移動している。 形態:線滝、階瀑。下1段は円弧状、直下型。上2段はよくみえないが、急斜型。滝壷はない(多量の土石流礫で埋まっているので推定)。泥岩の直立層。 最下段の滝面は、直立した地層の層理面に沿って剥離して、ほぼ垂直な滝面と滝崖を作っている。滝崖も垂直で壮大。高さとあいまって、千葉県の滝らしからぬ景観である。 地質補足:地層は上総層群黄和田層。千葉県の地層は直立することなぞ普通無いが、Kd24付近の黄和田層は大規模な海底地すべりの岩相で、一度水平に堆積した地層が、地すべりで変形して直立している。 <八州滝> 下流に、八州(やしゅう)の滝あり。5m。 谷地形がなく、水源は湧水であるとのこと(未確認)。 2001.4.24 →上の記述、間違いでした。(~_~;) 木平さんと行った時、位置を落とした所が図の×印。さらに、水が湧いていると聞き違えていました。 その図と文を見て、木平さんから訂正の指摘がありました。新位置と、滝上のトンネルを表示すると図のようになるそうです。 川廻しの滝ですね。謹んで、訂正させて頂きます。 木平さん、ごめんなさい。m(__)m |
宇野辺の滝 木平 勉氏提供 流域面積は小さいが、水量がその割に多い。 |
<小川(こが)の滝> 養老川支流、品ノ川にある。低いが、幅広の立派な滝である。 |
位置:下の図参照。滝の手前の品ノ川を道路が渡る地点よりやや南、電柱番号80番の付近から川に降りる踏み跡あり。あとは川床歩き。 品ノ川の出合(小田代用水の取水堰がある)から150mぐらいの地点。 地番は、大多喜町会所。 写真提供 木平 勉氏 |
滝の高さ:4.7m(吉村氏の測量)。 成因:支流型の滝。単一滝の遷急点。本流出合から150mぐらい移動している。 上の段丘面(久留里V面)と本流河床(久留里W面相当ぐらい)の比高は10m以上あるので、品ノ川の下刻に対して、岩質の条件によってとり残された分裂した遷急点の最下流の部分と解される。滝の頂上部分がより細粒の泥岩層よりなり、見かけ上の造瀑層になっていることが例証となろう。 形態:面滝、幕瀑。複合型。緩傾斜。滝壷は歐穴型副滝の部分滝壷のみ。泥岩と砂質岩の互層、緩い逆層。 副滝は2つあり、1つは中央やや右岸側の歐穴型副滝(大津の滝、大戸場の滝、濃水滝などにみられるタイプでよく見られる形)で、もう1つは左岸側の幅広壁状の副滝である。こちらには、人工の川堰支柱跡?あるいは歐穴の初期の小穴?が7〜8個ある。測量と再調査の予定である。 地質:地層は上総層群黄和田層。 |
粟又滝から上流に2q弓木への別れ道を過ぎた先。 まわりの林には、山ヒル君がどっさりいると思いますが、川の中を歩けば、大丈夫。 国土地理院2.5万地形図上総中野より作成 |