地質標本館特別展 「東日本の滝と地質ー北中康文写真展ー」を見てきました      HPトップに戻る 新情報表紙に戻る

1.期間、場所 など
2005年04月19日-07月18日 
場所 つくば市東1-1-1 地質標本館  tel 029-861-3750  http://www.gsj.jp/Muse/
入場 無料
ただし、産業技術総合研究所の一つの施設なので、構内に車で入るには、守衛さんから駐車券をもらわないといけない。

2.感想
 
私は、展示屋でもあり、自称、滝屋でもありなので、その点で感想を書かせていただきます。結論は・・・一見の価値あり。

2-1 展示屋として
 展示屋としては、もっと、大きな展示室で、本格的な展示会としてやれたらばいいのに、
もったいないと、心底、思いました。

企画展示室がないらしく、玄関ホールにこじんまりした展示というか、展示コーナーという感じで並んでいました。
というか、学会のポスターセッション+α程度。


 展示用衝立1枚につき、滝の写真と、滝の岩石の解説パネルと、滝の岩石の、三点セットで展示してあります。
 ・・・・しかし、岩石が床の近くというのは、やっぱ、ポスターセッション風ですね。せめて、解説パネルの下端に近い高さの展示台がなかったのでしょうか。 右の画像参照⇒ 岩石がかわいそう。

 あと、配布資料がカラー刷り、A41枚両面なんですが、内容が展示にかかわっていません。
 展示内容が決まる前に、作った感じです。それなりにお金がかかったものですけど、
 展示って、家に帰って、戦利品があったなあ。というところが無いとねえ。
いい解説が書いてあったけど、お持ち帰りは、滝の一覧図だけですから、パネルの解説を思い出すものがありません。
 カラーのチラシ分のお金を使って、もっとぼろくていいから個々の滝の説明をいれたもっと詳しい資料が作れなかったのかなあと思いますね。


〔蛇足〕
 地質標本館が博物館として、狭すぎなんですよね。今の3倍ぐらいの展示面積があればと思うんですけどね、それだけあっても、あっさり、標本だけで埋まってしまうだけのバックがあるに決まってます。
  日本国を代表する地質の展示館のはずなんだけど、あまりに狭いよね。

2-2 滝屋として
 滝として、内容の濃い展示だと思います。もっとも、私は、写真はわかんない人なので、北中氏の滝の写真について何もいえませんが、岩石の解説の方は、企画した方には当然のことでしょうけど、すばらしい出来です。

対象の滝は以下の24滝。・・・・・「日本の滝1、東日本661滝」掲載の写真から、地質の特徴を良く現しているもの24を選び、滝の写真と地質解説、そして滝を構成する岩石を対応させて展示しました。・・・・とのことです。

北海道:銀河の滝 千鳥ケ滝
青森県:不動滝、松見の滝、双竜の滝 
秋田県:老不知の滝 安の滝 亀田不動の滝 桧山滝 元滝
岩手県:七折りの滝 
山形県:火焔の滝 滑川大滝
新潟県:大尾不動滝 
福島県:籠場の滝 青葉の滝 
茨城県:袋田の滝 
栃木県:竜化の滝 華厳の滝 
群馬県:温泉大滝 常布の滝
長野県:千ケ滝 
山梨県:七ッ釜五段の滝 神蛇滝 
静岡県:白糸滝

 滝についている、岩石の解説は、800字ー1600字もあり、地質図つきで、とても立派な解説です。
 滝の岩石って、地質図の解説書でも、その現地での解説がないことが大部分なので、あらかじめ、地質図と説明書を読み砕いておいて、実際の滝面の岩石を見て・・・見るというのは、触る・叩く・拡大してみるまで含んでますけど・・・、地質図やなんかの説明を現地で自分の頭で再構成しないと、わかんないんですよね。
 そこを、この解説は、現地の岩石を知っている方が、滝の岩石の説明をするという目的でかかれていますので、凄く達意で内容豊富な説明になっています。
 単に、滝の岩質が、口口岩であるというだけでなくて、口口岩なのでこんな形に・・という所まで書かれているものが多く、いいですね。
 滝の写真集やHPで、各県の滝の写真を見るにつけ、その滝面の表面形がどんな岩石の性質により制約されているのか知りたくなるものです。
 でも、知りたいと思っても、そんなことが書いてあるわけもなく、自分で地形図上の位置を調べ、地質図上の位置を調べ、地層名と岩質を調べたあと、地質図の説明書を読んで、どんな風化をする岩なのか確認して、写真を見直すということになります。さらに、大抵の場合、現地の岩石の記述は無く、写真に写っている岩石がなにかは、予想に過ぎないので、現地に行って、当てはめてはじめて、こうかもしれないなあと思う、という手順を踏まないと、「この滝は□□岩でできてるそうです」とすら言えないですよね。これでは、とてもやってられません。
 ですので、秋田県の安の滝が、どんな岩が絡んでいるので、千葉県の滝でいうと砂岩タイプの丸みのある滝面の表面形をしてるのか? 知りませんでした。行くとなったら別ですけど。・・・・手が廻りません。(~_~)
 そこを、実際の滝を見ておられる方が記述してくださる滝の岩石の記述って凄く、ありがたいですし、千葉県には無いタイプの岩石の構成する滝面の例を、見られてとても面白いと思いました。 
安の滝って、熔結凝灰岩なんですね。なるほどそれでか、そうすると・・。 と納得しました。
 見に行かれる方は、是非、時間をかけて、解説を全部読んでご覧になることをお勧めします。

  この展示会を見た方が、滝の水の背後の、滝の岩石にも注目しよう、地質図を持ってくぐらいのことはしようぜ。 と思い立って、ついでに、地質図を買っていくことになればいいですね。・・・・地質図見ればほいほいわかるほど自然は甘くないけど、見なければ五里霧中ですもんね。
 
〔蛇足〕
 念のために補足すると、岩石の説明としてはすばらしいんですけど、地形図や河川縦断面図が一図もなく、地形としての滝の説明は、ありません。滝の成因・変遷・年代・将来の姿などについては、触れられていませんが、まあ、ないものねだりということでしょう。
 あくまで、滝と地質という展示ですので。
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